KICKBOXING / OWNER INCOME
キックボクシングジムオーナーの年収は?働き方別の手取りと複数店舗化
このページで扱うのは、雇われインストラクターではなく「ジムを開業したオーナー(経営者)」の年収です。検索で出てくる「キックボクシングジム 年収」の多くは、求人サイトに並ぶ雇われトレーナーの給料で、オーナーの収入とは仕組みが異なります。いくらになるか、いつ出るか、どう上げて何で落とすかまで、会員120人・月会費11,000円のモデルケースで一通り整理します。
- 兼トレーナー型
- 約684万円
- 経営専念型(1店舗)
- 約204万円
- 経営専念3店舗
- 約612万円
- 雇われトレーナー
- 約300〜400万円
兼トレーナー型は税引前の取り分(自分の労働対価を含む)、経営専念型は営業利益(役員報酬の原資)の目安です。いずれも税抜・モデルケースの試算で、年収を保証するものではありません。
監修: 山本貴大(店舗マーケティング専門家) / 公開日: 2026年6月9日 / 数値はモデルケース・目安
結論:オーナーの年収は「働き方」と「店舗数」で決まる
キックボクシングジムオーナーの年収に、固定の相場はありません。オーナーが指導の中心に立てば人件費が浮き、その分が取り分になります。指導をトレーナーに任せて経営に専念すると、その指導を雇用で補うぶん人件費が増え、1店舗あたりの取り分(営業利益)は小さくなります。そのぶんは複数店舗を持つことで積み上げる形です。年収の土台になるのは1店舗の収益力で、その収益構造と損益分岐は キックボクシングジムは儲かるか(収益・損益分岐) にまとめています。
まず自分はどの型か|働き方3タイプ早見表
同じ「オーナー」でも、副業から始めるのか、専業で指導に入るのか、経営に専念して規模を広げるのかで、年収も働き方も変わります。自分がどの型を目指すかを先に決めると、必要な会員数と資金が見えてきます。
| タイプ | 規模・前提 | 収入・利益の目安 | 向く人 |
|---|---|---|---|
| 副業・週末スタート | 間借り・レンタルスペース、週末中心 | 軌道後 年数十万円〜(副収入レベル) | 格闘家のセカンドキャリアの入口。リスクを抑えて試したい |
| 兼トレーナー型(専業) | 自店・オーナーが指導の中心 | 取り分 約684万円(モデルケース) | 指導力で稼ぎたい。1店舗を深く育てたい |
| 経営専念・多店舗 | 指導は雇用、オーナーは経営に専念 | 1店舗 営業利益204万円→複数店舗で拡大 | 仕組み化と規模拡大で伸ばしたい |
副業・週末スタートは、ファイトマネーだけでは生計を立てにくい選手のセカンドキャリアの入口としても選ばれます。専業の2タイプについて、兼トレーナー型の取り分と経営専念型の営業利益を、次に1店舗の収支から詳しく見ていきます。
1店舗オーナーの年収シミュレーション
会員120人・月会費11,000円・月商132万円(税抜)のモデルケース。オーナーがどれだけ指導に入るかで取り分が変わります。
オーナー兼トレーナー(自分が指導の中心)
- 月商
- ¥1,320,000
- 経費
- ▲¥750,000
- オーナーの取り分(月)
- ¥570,000
補助スタッフ人件費20万円+家賃・設備償却・水光熱・広告・その他55万円(オーナー報酬を除く)
- 年間(税引前)
- 約684万円
- 手取り目安
- 約470〜500万円
オーナーが指導の中心に立ち、雇用トレーナーを補助に絞る形です。人件費が圧縮されるぶん、取り分(自分の労働対価を含む)は最も大きくなります。会員数を自分の稼働で支えるため、規模の上限は体力と時間に縛られます。
オーナーは経営に専念(指導はトレーナーに任せる)
- 月商
- ¥1,320,000
- 経費
- ▲¥1,150,000
- 営業利益(月)
- ¥170,000
トレーナー人件費60万円(オーナーの指導分を雇用で補う)+家賃・設備償却・水光熱・広告・その他55万円
- 年間営業利益(税引前)
- 約204万円
- 手取り目安
- 役員報酬の設定による
オーナーが指導しないぶん、指導を担うトレーナーを厚めに雇う必要があり、1店舗の取り分(営業利益)は小さくなります。この営業利益は役員報酬の原資で、複数店舗化で積み上げる前提の形です。
兼トレーナー型は取り分が大きい一方、オーナーが指導に入るぶん、見られる会員数に上限があります。経営専念型は1店舗の取り分こそ小さいものの、複数店舗化で年収を伸ばす設計に向いています。収益記事のモデル(トレーナー人件費40万円・営業利益37万円)はこの2つの中間で、オーナーがどれだけ指導に入るかで取り分は上下します。営業利益率の考え方は 収益・損益分岐の記事 で詳しく解説しています。
複数店舗で年収を伸ばす場合の試算
2店舗目以降は、店長となるトレーナーに現場を任せ、オーナーは各店の営業利益を積み上げます。経営専念型(1店舗あたり営業利益17万円)を基準にした試算が下の表です。表の金額は営業利益の合計で、ここから役員報酬・税・統括コストを引きます。あくまで単純試算で、店舗が増えるほど採用・品質管理・統括の手間が加わります。
| 店舗数 | 月間営業利益 | 年間営業利益(税引前) |
|---|---|---|
| 1店舗 | ¥170,000 | 約204万円 |
| 2店舗 | ¥340,000 | 約408万円 |
| 3店舗 | ¥510,000 | 約612万円 |
1店舗の運営が安定しないまま店舗を増やすと、赤字店を抱えて全体の年収が下がるリスクがあります。複数店舗化は、1店舗目で損益分岐点と継続率の設計を固めてからが原則です。
年収はいつ出るか|開業から軌道までの推移
開業してすぐにモデル水準の年収が出るわけではありません。会員ゼロから集客を積み上げ、損益分岐を超えてようやく取り分が生まれます。兼トレーナー型を例にした、立ち上げから軌道までの目安が下のタイムラインです。
| フェーズ | 会員数の目安 | オーナー年収の目安 | この時期にやること |
|---|---|---|---|
| 立ち上げ期(〜1年目) | 会員 0〜87人未満 | ほぼ無〜持ち出し | 体験会・SNS・地域での認知づくり。黒字化までは赤字を見込み、開業資金に運転資金を厚めに用意する |
| 成長期(1〜2年目) | 会員 87〜120人 | 黒字化〜数百万円へ | 継続率を固めて退会を抑える。パーソナルやキッズなど客単価メニューを足す |
| 軌道期(2〜3年目以降) | 会員 120人〜 | 兼任 約684万円/専念は複数店舗で拡大 | 多店舗化・単価向上・仕組み化で年収を伸ばす |
損益分岐の会員数(モデルケースで固定費回収が約76人、営業黒字化が約87人)は 収益・損益分岐の記事 で算出しています。立ち上げ期は赤字や持ち出しを見込み、運転資金を厚めに用意しておくと、年収が出るまでの期間を乗り切りやすくなります。資金計画は 開業資金の記事 を参照してください。
年収を上げる4つのレバー
LEVER 1
継続率(退会を減らす)
会員ビジネスの年収は継続率が土台です。退会が1人増えるごとに、月会費 × 在籍月数ぶんの売上が消えます。新規を追うより、レッスンの質とコミュニティで続けてもらうほうが、同じ集客でも年収が積み上がります。
LEVER 2
客単価(月会費以外の収益源)
パーソナル指導・キッズクラス・物販(グローブ・バンテージ)・大会参加サポートを重ねると客単価が上がります。月会費が低めな業態ほど、会費以外の収益源が年収の差を生みます。
LEVER 3
稼働率(クラスを埋める)
1クラスの参加人数が増えるほど、同じ家賃から得られる売上が増えます。朝・昼・夜の時間帯設計と、初心者・上級者・キッズのクラス構成で、空き時間を減らします。
LEVER 4
兼任度(自分が指導に入るか)
人件費は大きな固定費です。オーナーが指導に入るほど人件費が圧縮され、取り分は増えます。ただし会員数と客単価が同じままトレーナーを増やすと取り分は削れます。自分の時間は有限なので、規模拡大とのバランスで決めます。
年収を落とす5つの失敗|「強さだけでは食えない」
キックボクシングは「強さだけでは食えない」と言われる業態です。競技力や指導力があっても、次のような状態に陥ると年収は落ちます。自店に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
-
退会を放置している
継続率を数字で追わず、辞めた人数を把握していない。売上の土台が静かに削れます。
-
価格競争に巻き込まれている
安さでしか選ばれず、値下げで客単価と利益が下がる。価格以外の価値づくりが要ります。
-
設備に過剰投資した
リング・内装にかけすぎて固定費が重く、損益分岐の会員数が上がる。回収が遠のきます。
-
集客の導線がない
「強さ」頼みで、体験から入会につなぐ設計がない。指導力は集客を自動では生みません。
-
オーナーに属人化している
指導を自分一人に依存し、自分が抜けるとレッスン提供が止まり、退会・返金リスクが出る。トレーナー採用と標準化で属人性を下げます。
雇われインストラクターとオーナーの違い
「キックボクシングジム 年収」で調べると、求人サイトに並ぶ雇われトレーナーの給与水準が多く出てきます。オーナーになると収入の仕組みが変わるため、両者を分けて整理します。
| 雇われインストラクター | ジムオーナー | |
|---|---|---|
| 年収の目安 | 約300〜400万円(社員) | 兼トレーナー型で約684万円、経営専念は複数店舗で拡大 |
| 収入の安定性 | 固定給・コマ給で安定 | 会員数に連動して変動 |
| 収入の上限 | 給与体系の範囲 | 店舗数しだいで上振れ |
| 負うリスク | 低い(雇用される側) | 開業資金・赤字リスクを負う |
| 必要なもの | 指導力・競技実績 | 集客・経営・資金の設計 |
よくある質問
- Q. キックボクシングジムオーナーの年収はいくらですか?
- 働き方で変わります。オーナーが指導の中心に立つ兼トレーナー型では、会員120人・月会費11,000円のモデルケースで税引前約684万円が目安で、税・社会保険を引いた手取りは概ね470〜500万円程度です。指導をトレーナーに任せて経営に専念する場合は、その指導を雇用で補うぶん人件費が増え、1店舗の営業利益ベースで約204万円が目安になり、複数店舗化で積み上げる形になります。
- Q. 開業して何年で年収が出ますか?
- 会員獲得のペースしだいです。損益分岐の会員数(モデルケースで固定費回収が約76人、営業黒字化が約87人)を超えるまでは利益が出にくく、オーナーの取り分も限られます。開業準備から集客を仕込み、1〜2年目に損益分岐を超え、2〜3年目以降にモデル水準の年収へ近づくのが現実的な目安です。立ち上げ期は赤字や持ち出しを見込んで資金計画を立てます。
- Q. 雇われインストラクターとオーナーの年収は違いますか?
- 別物です。雇用されるキックボクシングのインストラクター・トレーナーは、勤務形態にもよりますが社員で年収約300〜400万円が一つの目安とされ、求人では月給20万円台前半〜30万円前後が中心で、店長・幹部候補は30万円台もあります。オーナーは開業資金や赤字のリスクを負う代わりに、会員数と店舗数しだいで収入の上限が変わります。検索で出てくる「年収」の多くは雇われ側の給料です。
- Q. 複数店舗で年収1,000万円は可能ですか?
- 試算上は店舗を増やすほど積み上がりますが、1,000万円は簡単ではありません。経営専念型(1店舗あたり営業利益17万円)を基準にすると、3店舗で年間約612万円が計算上の目安です。1,000万円に届かせるには、さらに店舗を増やす、客単価の高い業態にする、オーナーが指導に入って人件費を抑えるなどの組み合わせが要ります。これは役員報酬・法人税・社会保険・統括コストを引く前の営業利益の合計で、2店舗目以降は採用・統括の手間や赤字店のリスクも加わります。
- Q. なぜトレーナーを増やすと手取りが減るのですか?
- 人件費が大きな固定費だからです。会員数と客単価が同じままなら、指導を任せるトレーナーが増えるほど給料の支払いが増え、オーナーの取り分は減ります。もちろん、増員でクラスを増やし会員数が伸びれば利益も増えますが、会員が伴わない増員は手取りを削ります。会員数が少ない段階では、オーナー自身が指導に入る兼任型のほうが手取りは残ります。
- Q. 個人事業主と法人どちらが手取りは多いですか?
- 売上規模と役員報酬の取り方で変わります。1店舗・兼任型の段階では個人事業主のほうが手続きや税負担がシンプルです。複数店舗化や利益の拡大が見えてきた段階で法人化を検討すると、役員報酬や経費の設計で手取りを調整しやすくなります。なお年商が1,000万円を超えると消費税の課税事業者になるため、その負担も含めて具体的な試算は税理士・専門家にご確認ください。
データ出典・注記
- 年収のモデルケースは30坪・会員120人・月会費11,000円・月商132万円(税抜)を前提とし、立地・客単価・会員数・継続率・人員体制により実数は大きく変動します。兼トレーナー型の取り分はオーナーの労働対価を含む税引前の取り分、経営専念型の約204万円は営業利益(役員報酬の原資)で、いずれも特定の店舗の実績を示すものではありません
- 兼トレーナー型の年間約684万円は、オーナーが指導の中心に立ち雇用トレーナーを補助(20万円)に絞った場合の上振れ値です。経営専念型はオーナーの指導分を雇用で補うためトレーナー人件費を60万円と厚く見込み、営業利益は17万円/月としています。収益記事のモデル(トレーナー人件費40万円・営業利益37万円)はこの中間です
- 年収の推移タイムラインと働き方3タイプの年収は、上記モデルケースを前提にした目安です。立ち上げ期の期間や黒字化までの時期は集客ペースで前後し、副業・週末型の年収は規模で大きく変わります。特定の年収を保証するものではありません
- 月商・年商は税抜(消費税抜き)です。年商約1,584万円は課税売上1,000万円を超えるため、開業から一定期間を過ぎると消費税の課税事業者となり、納税分が手残りを圧迫します(インボイス登録の有無でも変わります)
- 手取り額は所得税・住民税・国民健康保険・国民年金(または社会保険)・法人税の負担により変わり、控除の条件でも上下します。個人事業主か法人かでも異なるため、具体的な試算は税理士・専門家にご確認ください
- 雇われインストラクター・トレーナーの年収約300〜400万円(求人で月給20万円台前半〜30万円前後が中心)は、求人情報や業界調査で示される一般的な水準の目安です。雇用形態・歩合・地域により幅があります
- 複数店舗の年間試算は1店舗あたり営業利益17万円を単純に乗じた営業利益の合計で、役員報酬・法人税・社会保険・統括コスト・採用費・空室期間は含みません