24H GYM / PROFIT
24時間ジムは儲かる?会員数・坪効率・利益構造
24時間ジムが儲かるかは、会員数と坪効率で決まります。固定費型のビジネスなので、損益分岐となる会員数を超えるまでは赤字、超えた後は会員1人分の月会費がほぼそのまま利益に積み上がります。月会費8,500円・固定費約230万円のモデルで、損益分岐は会員約270人。会員数別の利益と、利益を左右するレバーを見ていきます。
- 損益分岐
- 会員約270人
- 坪あたり会員
- 約10人
- 営業利益率
- 約28%
- 人件費比率
- 約12%
監修: 山本貴大(店舗マーケティング専門家) / 公開日: 2026年6月4日 / 数値はモデルケース・目安
結論:儲かるかは『損益分岐を超える会員数』で決まる
24時間ジムは、家賃やマシンの償却といった固定費が先にかかり、会員が増えるほど利益が伸びる固定費型のビジネスです。だから「儲かるか」は、損益分岐となる会員数を超えられるかにかかっています。無人運営で人件費が低い分、損益分岐を超えた後の利益の伸びは速い一方、届かなければ24時間分の光熱費と償却が重くのしかかります。同じ業態でも、損益分岐の前と後では経営の景色がまったく違うということです。開業全体の収益モデルは 24時間ジム開業の全体像 で確認できます。
会員数別の月次利益(月会費8,500円・固定費約230万円)
固定費を月約230万円、月会費を8,500円とした試算。固定費は立地・坪数・マシン構成で変わります。
| 会員数 | 月商 | 月次営業利益 |
|---|---|---|
| 200人 | 1,700,000円 | −595,000円 |
| 270人 | 2,295,000円 | 0円 |
| 350人 | 2,975,000円 | 680,000円 |
| 450人 | 3,825,000円 | 1,530,000円 |
| 550人 | 4,675,000円 | 2,380,000円 |
損益分岐の約270人を超えると、会員1人の月会費がほぼそのまま利益に乗ります。開業から損益分岐までの期間をどれだけ短くできるかが、回収の早さを決めます。坪あたり会員数の目安(約10人)を物差しにすると、例えば45坪なら450人が天井の目安で、自店の坪数×10と商圏の集客力を突き合わせて現実的な着地点を見積もれます。
自分の数字で試算する|収支シミュレーター
月会費・会員数・固定費を入れると、月商・簡易営業利益・利益率・損益分岐の会員数を試算します。数値は自由に変更できます。業態プリセットは小規模・安定稼働時のモデルケースで、業界平均ではありません(公的指標ではフィットネス業の営業利益率は低く、赤字も珍しくありません)。
- 月商
- —
- 固定費 合計
- —
- 簡易営業利益(月)
- —
- 簡易営業利益率
- —
- 損益分岐の会員数
- —
- 簡易営業利益(年・参考)
- —
この試算は入力値に基づく簡易計算です。表示する「簡易営業利益」は、オーナー自身の報酬・借入の元本返済・税金・初期投資の回収・設備の減価償却を差し引く前の値で、実際の手残りより高く出ます(人件費にオーナー報酬を含めると利益は下がります)。損益分岐の会員数は、入力した固定費を回収するための人数で、オーナーの生活費・借入返済・税・初期投資の回収は含みません。年間の数値は同じ会員数・単価・費用が12か月続く前提です。投資回収期間は算出していません。実際は立地・客単価・稼働率・季節変動・採用状況で大きく変わり、売上・利益を保証するものではありません。損益分岐会員数 = 固定費 ÷ 1会員あたり貢献利益〔(月会費+物販等)×(1−変動費率)〕で算出しています。
会員数・月会費・固定費を自分の計画に置き換えて、損益分岐の会員数と利益の感覚をつかめます。使い方の詳細は 収支シミュレーターのページ にまとめています。
利益を左右する4つのレバー
LEVER 1
会員数(損益分岐を超える)
24時間ジムは固定費型のビジネスです。損益分岐となる会員数を超えるまでは赤字、超えた後は会員1人の月会費がほぼそのまま利益に積み上がります。まず損益分岐会員数を把握し、そこを最短で超える集客が最優先になります。
LEVER 2
坪効率(坪あたり会員数)
同じ会員数でも、小さい坪数で達成できれば家賃あたりの利益は増えます。坪あたり会員数が目安(約10人)に届いているかで、立地と坪数の選択が適切だったかが分かります。
LEVER 3
継続率(退会を減らす)
会員制ビジネスは、新規獲得より退会を減らすほうが利益への効きが大きい構造です。マシンの清潔さ・混雑緩和・設備の更新で継続率を上げると、損益分岐を安定して超え続けられます。
LEVER 4
固定費(人件費・家賃・光熱費)
無人運営で人件費を売上の1割前後に抑えられるのが強みです。一方で24時間稼働の水道光熱費とマシンの償却が重く、ここの設計が利益率を左右します。
利益を守るコスト管理|削ってよい費目・いけない費目
固定費230万円のモデルで利益を厚くしようとするとき、何を削るかの選択を誤ると退会で跳ね返ります。無人ジムの安さは、清掃・防犯・保守を維持してこそ成立します。
削ってはいけない費目(退会に直結)
-
清掃・衛生
無人ジムの第一印象は清潔さに大きく左右されます。清掃頻度を落とすと退会が増え、節約額を上回る売上を失いかねません。
-
防犯・セキュリティ
入退館管理・監視カメラ・緊急通報は無人運営の生命線です。事故やトラブルが起きた時の信頼低下は取り返せません。
-
マシン保守・更新
故障放置は「使いたいマシンが使えないジム」として退会に直結します。保守契約と計画的な入れ替えは固定費として守ります。
見直す余地がある費目
-
水道光熱費の契約
24時間稼働ゆえに電力契約の見直し効果が大きい費目です。空調の運転設計や照明のLED化・人感センサー化で、サービスを落とさず下げられます。
-
広告費の配分
開業期と安定期で最適な広告量は違います。会員が損益分岐を超えて安定したら、紹介・看板・Googleビジネスプロフィールの比重を上げ、有料広告を絞る余地があります。
-
リース・サブスク契約
マシンリース・音楽配信・ソフトウェアなどの月額契約は、更新時期ごとに棚卸しします。使っていない契約が固定費に紛れがちです。
損益分岐に届かないときの立て直しの順番
会員数が損益分岐の約270人に届かないとき、最初に広告費を積み増すのは典型的な悪手です。退会と転換率を直してから新規の量を増やす、という順番が立て直しの定石です。
STEP 1
退会を止める
新規集客より先に、退会理由を特定して止めます。混雑・清潔さ・故障など、辞める理由の多くは店内の環境にあります。穴の空いたバケツに水を注がないことが先決です。
STEP 2
体験・見学から入会への転換率を上げる
来てくれた人を取りこぼしていないかを確認します。入館の導線・料金の分かりやすさ・初回利用のつまずきを直すほうが、広告を増やすより安く効きます。
STEP 3
商圏に合わせて集客チャネルを足す
退会と転換率を直してから、新規の量を増やします。Googleビジネスプロフィール・看板・チラシ・Web広告を商圏の年齢層に合わせて配分します。値下げに頼る前に、退会率と体験からの転換率を見直すのが先です。
集客チャネルの具体的な選び方はジムの集客方法で解説しています。
利益と開業資金・回収の関係
24時間ジムは初期投資が大きいため、損益分岐を超えて利益が出始めても、回収には3〜7年かかります。初期投資が小さいほど回収は早く、損益分岐会員数も下がります。資金の組み方と回収の前提は 24時間ジムの開業資金 に、FCと個人開業の利益率の違いは 無人ジムフランチャイズの比較 にまとめています。
よくある質問
- Q. 24時間ジムは何人会員がいれば黒字ですか?
- 固定費の水準で変わりますが、月会費8,500円・固定費約230万円のモデルでは、損益分岐はおよそ会員270人です。これを超えると、会員1人分の月会費がほぼそのまま利益に積み上がります。まずこの損益分岐会員数を最短で超えることが、黒字化の最優先課題になります。
- Q. 24時間ジムの利益率はどのくらいですか?
- 営業利益率はモデルケースで約28%が目安です。無人運営で人件費を売上の1割前後に抑えられるのが効いています。ただしこれはオーナー報酬・減価償却を差し引く前の簡易的な利益率で、会計上の営業利益率とは単純比較できません(J-Net21のフィットネスクラブ損益イメージでは営業利益率6.7%)。会員数が損益分岐に届かないと赤字になり、坪効率と継続率で実際の利益率は大きく変わります。
- Q. 会員数を増やすには何が一番効きますか?
- 新規集客と並んで、退会を減らすこと(継続率)の効きが大きいです。会員制では、せっかく集めた会員が辞めると損益分岐の維持が難しくなります。マシンの清潔さ・混雑緩和・設備更新といった、通い続けたくなる環境づくりが利益に直結します。
- Q. 無人運営でも本当に利益は出ますか?
- 損益分岐を超えれば、無人運営は人件費が低い分だけ利益が出やすい構造です。ただし初期投資が大きいため、回収には3〜7年かかります。事故や設備トラブルへの対応、防犯設計を怠ると、信頼低下で会員が減り利益も崩れます。
- Q. 坪数はどう決めればよいですか?
- 商圏で集められる会員数から逆算します。坪あたり会員数の目安が約10人なので、例えば45坪なら会員450人が物差しになります。商圏人口や競合状況から見て450人が非現実的なら、坪数を下げて固定費と損益分岐を下げるほうが安全です。先に物件を決めて後から会員数を祈る順番が、最も典型的な失敗です。
- Q. 近隣に競合ができて価格競争になったら、値下げすべきですか?
- 値下げは慎重に判断します。月会費8,500円のモデルで500円下げると、会員400人なら月20万円・年240万円の利益が直接消えますが、値下げで会員が同じだけ増えるとは限りません。24時間ジムの競争力は価格だけでなく、マシン構成・清潔さ・混雑しにくさ・通いやすい立地でも大きく変わります。競合が増えた商圏では、退会を減らす運営品質への投資のほうが、値下げより利益を守りやすい場面が多くなります。
- Q. 会員が損益分岐に届かないときは、何から手を打つべきですか?
- 順番が大切です。先に退会を止め(混雑・清潔さ・故障の解消)、次に体験・見学から入会への転換率を直し、最後に新規集客の量を増やします。広告費の積み増しから入ると、穴の空いたバケツに水を注ぐ形になりがちです。値下げは客層と収益構造を壊すため、原則使いません。
データ出典・注記
- 利益率・会員数・坪効率・継続率などの数値は、業界誌 Fitness Business・各社公開情報・公的統計をもとに 2026年5月時点で集約した業界目安です
- 本記事の営業利益率約28%は、オーナー報酬・減価償却を差し引く前の簡易的な利益率です。会計上の業界指標として、J-Net21(中小機構)のフィットネスクラブ損益イメージ(東京商工リサーチ「TSR中小企業経営指標」ベース)では営業利益率6.7%が示されており、控除前の本記事の数値とは単純比較できません
- 会員数別の利益試算は、月会費8,500円・固定費月230万円という仮定モデルです。立地・坪数・マシン構成・FC本部の有無で実数は大きく変動し、特定の店舗の実績を示すものではありません
- 損益分岐会員数は固定費の水準で変わります。自店の固定費に置き換えて試算してください
- コスト管理と立て直しの手順は一般的な経営の目安で、効果は商圏・運営状況により異なります。特定の改善幅や黒字化を保証するものではありません