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業態研究 / ヨガ教室の収益

ヨガ教室は儲かる?収益構造の現実

ヨガ教室の収益は「会員数 × 月会費」です。ただしグループレッスンは1クラスの定員と開けるクラス数に上限があり、会員数に天井があるのが他の業態との違いです。月会費9,000円・会員100人のモデルケースで損益分岐は約72人、オーナー報酬を引く前の簡易利益率は約28%(会計上の営業利益率はこれより低くなります)。儲かるかを左右する要因を整理します。

監修: 山本貴大(店舗マーケティング専門家) / 数値はモデルケースの目安で、収益を保証するものではありません

結論:客席の天井を、稼働率と別収益で越える

ヨガ教室は固定費が比較的軽く、損益分岐の会員数は少なめで、小さく黒字にしやすい業態です。一方で、グループレッスンは、クラスの定員・開けるクラス数・会員の受講頻度に制約されやすく、1店舗の売上には現実的な上限があります。儲かるかどうかは、限られた客席をどれだけ埋めるか(クラス稼働率)と、固定費(自前スタジオかレンタルか)のバランス、そして物販・オンライン・養成講座といった客席に縛られない収益をどう足すかで決まります。オーナー個人の手取りは 年収のページ 、開業の全体像は ヨガ開業のページ にまとめています。

会員数別の収支モデル

月会費9,000円・固定費648,000円/月(人件費・家賃・広告ほか)の常温スタジオのモデルケース。損益分岐は約72人、会員100人で簡易利益率(オーナー報酬・償却前)は約28%です。

会員数 月商 簡易営業利益(月)
40人 360,000円 −288,000円
72人(損益分岐) 648,000円 0円
100人(基準) 900,000円 252,000円
130人 1,170,000円 522,000円
160人 1,440,000円 792,000円

ただし、上の表のように会員数を増やし続けられるわけではありません。1クラスの参加人数は少人数制で8〜15人程度(大型・人気クラスでは20人を超えることもあります)、1日に開けるクラス数や会員の受講頻度にも制約があるため、1店舗の売上には現実的な上限があります。簡易営業利益はオーナー報酬・借入返済・税・設備償却を差し引く前の値です。

自分の数字で試算する|収支シミュレーター

月会費・会員数・固定費を入れると、月商・簡易営業利益・利益率・損益分岐の会員数を試算します。数値は自由に変更できます。業態プリセットは小規模・安定稼働時のモデルケースで、業界平均ではありません(公的指標ではフィットネス業の営業利益率は低く、赤字も珍しくありません)。

月商
固定費 合計
簡易営業利益(月)
簡易営業利益率
損益分岐の会員数
簡易営業利益(年・参考)

この試算は入力値に基づく簡易計算です。表示する「簡易営業利益」は、オーナー自身の報酬・借入の元本返済・税金・初期投資の回収・設備の減価償却を差し引く前の値で、実際の手残りより高く出ます(人件費にオーナー報酬を含めると利益は下がります)。損益分岐の会員数は、入力した固定費を回収するための人数で、オーナーの生活費・借入返済・税・初期投資の回収は含みません。年間の数値は同じ会員数・単価・費用が12か月続く前提です。投資回収期間は算出していません。実際は立地・客単価・稼働率・季節変動・採用状況で大きく変わり、売上・利益を保証するものではありません。損益分岐会員数 = 固定費 ÷ 1会員あたり貢献利益〔(月会費+物販等)×(1−変動費率)〕で算出しています。

月会費・会員数・固定費を自分の計画に置き換えて、損益分岐の会員数を確かめられます(プリセットはピラティス/ヨガ共通の目安です)。使い方の詳細は 収支シミュレーターのページ にまとめています。

利益を左右する4つの要因

FACTOR 1

クラス稼働率(客席を埋める)

グループレッスンは1クラスの定員(少人数制で8〜15人程度、大型・人気クラスは20人超も)と、1日に開けるクラス数に上限があります。空席はそのまま機会損失になるため、人気の時間帯にクラスを集め、稼働率を上げることが収益に直結します。

FACTOR 2

客単価(月謝・回数券・個別指導)

月謝制に加えて、回数券・プライベートレッスン・少人数の特別クラスで単価を上げられます。同じ会員数でも、単価の設計で月商が変わります。

FACTOR 3

固定費(自前スタジオ vs レンタル)

ヨガは家賃が固定費の中心です。レンタルスタジオを必要なときだけ使えば固定費を抑え、損益分岐の会員数を下げられます。一方、専用スタジオは世界観と専有時間を確保できる代わりに固定費が重くなります。

FACTOR 4

継続率(退会を減らす)

会員制では、新規獲得より退会を減らすほうが利益への効きが大きい構造です。レッスンの質・コミュニティ・予約のしやすさで継続率を上げると、損益分岐を安定して超え続けられます。

利益を守るコスト管理|削ってよい費目・いけない費目

ヨガのコスト構造の特徴は、講師謝金がクラス本数に連動する変動費だという点です。空間体験と講師の質は守りながら、埋まらないクラスと遊んでいる時間帯から見直します。

削ってはいけない費目(月会費の根拠)

  • 講師の質・謝金の水準

    レッスンの質で選ばれる業態です。外部講師の謝金を絞ると質と評判が落ち、退会という形で何倍にもなって返ってきます。

  • スタジオの清潔感・空間の世界観

    ヨガは空間体験ごと選ばれます。貸出マット・ブランケットの衛生、香り・照明・音といった世界観への支出は、月会費の根拠そのものです。

  • 予約のしやすさ

    予約が取りにくい・分かりにくい状態は、不満の声にならないまま静かな退会につながります。予約システムの月額は守る固定費です。

見直す余地がある費目

  • 定員割れクラスの統合

    講師謝金はクラス本数に連動する変動費です。埋まらない時間帯のクラスを統合すれば、売上をなるべく落とさずにコストを下げやすく、見直し余地の大きい費目です。

  • 家賃(専有とレンタルの組み合わせ)

    稼働の薄い時間帯まで専有する必要があるかを見直します。朝晩は自前スタジオ・昼はレンタル貸出など、空間を遊ばせない設計で固定費を回収できます。

  • 物販・備品の在庫

    ウェアやマットの物販は在庫を持ちすぎないことが大切です。売れ筋に絞れば、客単価を上げつつ在庫リスクを抑えられます。

損益分岐に届かないときの立て直しの順番

会員数が損益分岐の約72人に届かないとき、クラス本数の追加や広告の積み増しから入るのは悪手です。退会を止め、稼働率を直してから新規を足します。

STEP 1

フェードアウト退会を止める

ヨガの退会は、強い不満よりも「足が遠のく」形が少なくありません。来なくなった会員への声かけ・予約リマインド・受講ペースの伴走で、静かな退会を止めます。

STEP 2

定員割れクラスを統合する

クラス本数より1クラスの埋まり方を優先します。統合すれば講師謝金が下がり、にぎわいが生まれて体験者の入会率も上がります。

STEP 3

高単価メニューと新規導線を足す

土台を直してから、体験クラスの導線とプライベート・ワークショップを足します。月会費の値下げは客単価の天井をさらに下げやすいため、慎重に判断します。

集客チャネルの選び方はジムの集客方法を参照してください。

よくある質問

Q. ヨガ教室は何人会員がいれば黒字ですか?
固定費の水準で変わります。月会費9,000円・固定費約65万円(人件費・家賃・広告など)のモデルケースでは、損益分岐はおよそ会員72人です。レンタルスタジオで家賃を抑えれば、損益分岐の会員数はさらに下がります。
Q. ヨガ教室の利益率はどのくらいですか?
モデルケース(月会費9,000円・会員100人)では約28%ですが、これはオーナー報酬や減価償却を差し引く前の簡易的な利益率で、会計上の営業利益率とは異なります。J-Net21(中小機構)のヨガ教室の標準財務比率では営業利益率は約5.4%とされており、本モデルは業界平均より高く出ます。オーナーが指導に立つ前提で、実際は稼働率・客単価・固定費で大きく変わります。
Q. ヨガ教室で大きく稼ぐにはどうすればいいですか?
グループレッスンは、クラスの定員・開催本数・会員の受講頻度に制約されやすく、1店舗の売上には現実的な上限があります。大きく伸ばすには、2店舗目の展開、オンラインレッスン、インストラクター養成講座、物販(ウェア・マット)など、客席の上限に縛られない収益を足すのが定石です。
Q. 自前スタジオとレンタルスタジオ、どちらが儲かりますか?
一概には言えません。レンタルは固定費(家賃)を抑えられるため損益分岐の会員数が低く、少人数でも黒字にしやすい一方、専有時間や世界観づくりに制約があります。自前スタジオは固定費が重い代わりに、ブランドと体験で客単価と継続率を上げやすくなります。会員数の見込みと固定費のバランスで選びます。
Q. オンラインレッスンは収益になりますか?
客席の天井に縛られにくい収益として有力な選択肢です。スタジオの座席定員と違い、オンラインは同時に参加できる人数の制約が小さく、録画配信なら開催本数の制約も受けにくくなります(ただし配信環境や運営対応は別途必要です)。単価は対面より低くなりがちですが、遠方の受講者や通えなくなった元会員の受け皿になり、退会の代わりにオンライン会員へ移ってもらう「降りる先」としても機能します。まず対面の補完として小さく始めるのが現実的です。
Q. クラスの本数を増やせば売上は増えますか?
埋まっていないうちに増やすと逆効果です。講師謝金はクラス本数に連動して増えるため、定員割れのクラスを増やすほど稼働率が下がり、コストだけが積み上がります。1クラスの埋まり方を先に高め、人気の時間帯が埋まり切ってから本数を足すのが順番です。
Q. 赤字のときは何から立て直すべきですか?
足が遠のいた会員への声かけと予約リマインドで「フェードアウト退会」を止めるのが先です。次に定員割れクラスを統合して講師謝金と稼働率を同時に改善し、最後に体験導線とプライベート・ワークショップなどの高単価メニューを足します。月会費の値下げは客単価の天井を下げやすいため慎重に判断します。講師の質・空間の清潔感・予約のしやすさは赤字でも削らない費目です。

注記

  • 会員数別の収支はモデルケースの目安で、収益を保証するものではありません(変動費は固定費に含めて簡易化しています)。実際は稼働率・客単価・固定費・会員数で大きく変動します
  • 約28%は、オーナー報酬や減価償却を差し引く前の簡易利益率(オーナーが指導に立つ前提のモデルケース)で、会計上の営業利益率とは異なります。J-Net21(中小機構)のヨガ教室の標準財務比率では営業利益率は約5.4%とされており、本モデルは業界平均より高く出ます
  • 簡易営業利益は、オーナー報酬・借入返済・税・設備償却を差し引く前の値です
  • コスト管理と立て直しの手順は一般的な経営の目安で、効果は商圏・運営状況により異なります。特定の改善幅や黒字化を保証するものではありません